ワーケーションという言葉をご存じですか?この記事では、ワーケーションとは何か、そのメリットやデメリットについてご紹介します。また、企業で導入したいとお考えの経営者や担当者の方向けに、導入にあたって検討すべきポイントやワーケーションを推進している自治体についてご紹介します。

ワーケーションとは

言葉の定義

ワーケーションとは、「ワーク」(work, 仕事)と「バケーション」(vacation, 休暇)を合わせた造語です。つづりはworkationが一般的ですが、まれにworcationと書くひともいるようです。

新しい言葉なので、色々な定義があるようですが、例えば英語のスラングの大手サイトUrban Dictionaryでは以下のように説明しています。

Workation: Work remotely while doing the touristy things on weekend or after work.

(訳 ワーケーション:週末や終業後などに観光をしながらリモートワーク(テレワーク)で働くこと)

Urban Dictionaryより

日本では、2017年にJALがワーケーションを導入したことで話題になりましたが、JALではワーケーションへの参加について以下のように説明しています。

ワーケーションとは仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせた造語で、国内外のリゾート地や帰省先、地方などでテレワークを実施します。

休暇先(旅先)で仕事をするという新たな働き方により、早朝や夕方以降の時間を社員が自由に過ごすことで、業務への活力につなげることが狙いです。また、ワーケーションにより、旅行の機会を増やし、家族と過ごす時間が増えることが期待されます。さらに、地方で開催されるイベントなどに積極的に参加することで地域の活性化の一助としてまいります。

JALプレスリリース(2017.7.12)より

このように、ワーケーションとは「旅先でテレワークをしつつ、観光を楽しむこと」といえるようです。

Workation = Bleisure?

ワーケーションと似た言葉に、ブレジャー(Bleisure)というものがあります。ブレジャーは、「ビジネス」(business, 仕事)と「レジャー」(leisure, 余暇)を組み合わせた造語です。ワーケーションが「仕事と」なのに対して、ブレジャーは「出張と個人的な旅行を組み合わせること」を意味し、ニュアンスが若干異なります。例えば、フランスにある取引先へ出張する際に有給休暇を組み合わせて余暇を楽しむことは、ブレジャーといえます。

メリット

ワーケーションは、日本と同じく有給休暇の少ないアメリカにおいて始まったとされます。日中は滞在先においてリモートワークをし、夕方以降や週末は家族と過ごすことで、長期の帰省や旅行先への滞在が可能となります。そこに有給を組み合わせることで、さらに長期の滞在をすることが可能となります。企業にとってはワーケーションをさせることで休日を増やすことなく従業員のリフレッシュを促すことが可能となります。このように、ワーケーションは福利厚生的な側面が強いといえます。

デメリット

「旅行先で仕事をするなんて!」という方は少なくないでしょう。オン・オフがつけづらくなることがデメリットとして挙げられます。

また、企業にとっては情報セキュリティの問題がデメリットとして挙げられますが、こちらは後述するようにすでにテレワークを導入している企業であればさほど大きな問題にはならないかもしれません。

ワーケーションを導入するには

検討事項

日本ではまだまだ珍しいワーケーションですが、すでにテレワークを導入している企業であれば導入は比較的容易です。

モバイルワーク(在宅やサテライトオフィス以外でのテレワーク)をすでに導入している企業の場合は、技術的な課題や勤怠管理の問題はクリアされているはずなのであとは運用ルールの整備が必要です。最低でも、以下の要素について検討を重ねましょう。

  • ワーケーションをしてもよい期間
  • ワーケーションをしてもよい滞在先(国外も含めるのか?)
  • ワーケーションをしてもよい場所(ホテル、コワーキングスペース、サテライトオフィス、帰省先の家など)
  • 有給との組み合わせを許可するか

国外での滞在を許可する場合、時差や滞在先でのセキュリティについて十分検討することが必要です。

モバイルワークを導入していない企業の場合は、まずは安全な通信方法の確保・情報共有システムの構築・コミュニケーションツールの導入などの技術的な課題をクリアする必要があます。

ワーケーションの行き先は?

さて,ワーケーション の行き先はどのようにして決定したらよいでしょうか。ここでは、ワーケーション の誘致に力を入れている地方自治体や、ワーケーション 導入をサポートしてくれる企業をご紹介します。

ワーケーション推進自治体

和歌山県

和歌山ワーケーションプロジェクト

和歌山県ではワーケーション普及促進事業を行っており、ポータルサイトやPR動画を作成するなどワーケーションの滞在先としてアピールを行っています。2018年に引き続き2019年も和歌山県内でワーケーションを行う人に対して協力費(3万円、3泊4日以上滞在必須など条件あり)を支払うなどの取り組みをしています。上記webサイトでは、滞在先やwifiスポットなどについて調べることができます。

ワーケーションといえば和歌山県。その取り組みとは?

徳島県

徳島 お試しサテライト

テレワーク事業に積極的なことで知られる徳島県(全国ご当地テレワーク事情ー四国編ー参照)ですが、「お試しサテライト」として宿泊施設(一棟貸しもしくは近隣のもの)のあるサテライトオフィスの利用をすることができ、ワーケーションに利用することができます。

にし阿波 ドイツ語によるワーケーションPR

にし阿波サテライトオフィスでは、国内だけでなくドイツからの観光客を対象としたドイツ語によるwebサイトを制作しています。

法人向けワーケーションサービス

ワーケーションを導入したい法人向けのサービスもあります。

JTBとスノーピークは、2019年4月から、企業のワーケーション導入を支援する「CAMPING OFFICE HAWAII」という法人向けサービスを開始しました。

旅先で仕事をする「ワーケーション」とは?JTBとスノーピークの事例

ワーケーションアライアンスジャパン

これまでは、企業側がワーケーション の受け入れ側自治体を個別にリサーチする必要がありました。

2019年夏、ワーケーション を導入したい企業と受け入れ側地方自治体とのマッチング・コミュニケーションを目的として「ワーケーション自治体協議会」(通称:ワーケーション・アライアンス・ジャパン(WAJ))が設立されました。

ワーケーションアライアンスジャパンとは?参加希望自治体はスタートアップフォーラムへ!

今後どのような取り組みがされていくのか,シゴトバ でも注目していきます!

まとめ

この記事ではワーケーションについて、言葉の定義や背景、導入する際に役に立つと考えられる情報についてご紹介しましたが、いかがでしたか?まだまだ日本では一般的ではないワーケーションですが、今後拡大していくのでしょうか?シゴトバでは引き続き調査をしていきます。