テレワーカーが自宅で作業をする時は、ベッドやテレビなどさまざまな誘惑があったり、まったく他の人の仕事ぶりが見えないなど、オフィスでの作業環境と全く違って、仕事の効率が下がってしまう人が見受けられます。
しかし自宅でのテレワークの場合はオフィスとは異なり他の人たちを気にせずにテレワークする環境を自分に合わせて築くことができます。
そのため自由に作業環境を自分で作り上げることによりテレワーク中の作業効率を上げていくことが可能になります。
今回は、テレワークにおける集中力を高める「背景音」についてご紹介します。会社によってはオフィスで何かを聴きながら仕事することを禁止されているところもありますし、たとえ許可されていてもイヤホンやヘッドホンが必要となります。一方自宅で仕事をする場合、スピーカーから直接聴くこともできます。スピーカーのほうが臨場感に優れ、また拘束感も薄れるためリラックスしながら仕事に取り組むことができます。
背景音
今回はテレワークの作業効率を高める背景音について説明します。
「背景音」と聞いていわゆるBGM(バックグラウンドミュージック)を連想された方もいらっしゃるかもしれませんが、今回は音楽ではなく自然音についてご紹介します。
作業をしながらBGMを聴かれている人も多いと思いますが、一般的に言って、作業中に聴く音楽は集中力を高めるには向かないと言われています。
特にお気に入りの楽曲などはそちらに注意がいってしまって、作業の方の集中力は薄れるようです。脳はあまり複数のことを同時にこなすことは得意ではないからだと思われます。
創造性を高める
Journal of Consumer Research(Vol. 39, No. 4)の論文
「Is Noise Always Bad? 」Exploring the Effects of Ambient Noise on Creative Cognition
によると適度にうるさい環境ノイズのもとでの作業した方が、無音、静かなノイズ、うるさいノイズの環境に比べて創造性が高まるとレポートされています。
適度にうるさいノイズは適度な妨げとなり、通常の思考の流れを止めてしまいますが、それにより、抽象的な考え方を促進し創造性を高めるという理論を様々な実験で実証しています。
ただし創造力がある程度ある人々に対して、より創造性を高めるのであり、もともとあまり創造力のない人に対しては効果はあまりないようです。
適度にうるさいとはこの論文では70デシベルの音の大きさで、これはカフェなどで人々が話をしているような雑音レベルだそうですが、実際は70デシベルというと電話のベルや交通量の多い交差点などでの音の大きさなので、かなりうるさいと感じてしまう人もいるかもしれません。
Coffitivity
カフェに行かずにカフェでのざわめきを自宅で聴くにはCoffitivityのホームページなどで提供されている無料のカフェライブラリを利用することができます。このカフェライブラリは上記の論文に基づいて創造性を高めるために作られていて、3種類のカフェでの環境ノイズを聴くことができカフェで仕事をしている感じにしてくれます。音量を多少高めにして背景音として聴きながらテレワークでの創造性を高めましょう。
集中力を高める
適度にうるさい騒音を聴くことはアイデア出しなど創造力を必要とする作業に関して騒音が通常の思考を妨げ、抽象的な考え方を誘発することを意図していますが、普通の作業で必要とされる思考を持続させたい場合は適度にうるさいノイズより静かなノイズ(50デシベル)の方が効果的であると先ほどの論文の実験でも実証されています。
実際に背景音を聴きながらテレワークしたときは高い創造性を要求する作業よりも通常の思考を続ける作業の方が多かったので静かなノイズの方がテレワークしやすく、しかもカフェのノイズより自然の背景音の方が集中力を高めるのに効果的でした。
ネイチャー・サウンド・ギャラリー
今回は自然音のみを収録したネイチャー・サウンド・ギャラリーの中から4つのアルバムを選んで、それを背景音として聴きながらテレワークを行ってみました。
ネイチャー・サウンド・ギャラリーの中には20ほどのアルバムがあり、それぞれは特殊立体マイクを使用して自然音を録音することによって、自然を再現していて、しかも自然音のみで構成されているのでまるで、その場にいるような臨場感を体感できる背景音となっています。
実際にテレワークで使用したアルバムです。
小笠原諸島
小笠原諸島での様々な自然音が収録されており、波打ち際の波の音を中心に、小鳥のさえずり、クジラやイルカの鳴き声、ヤシの木の揺れる音など南国の島の浜辺で仕事をしているように感じられます。
9曲から構成されており、長さは1時間9分です。
せせらぎ
軽井沢、奥日光、屋久島などの清流や渓流での水の流れる音にさまざまな鳥のさえずりなどが聞こえ、小川のほとりにいるような気分にさせてくれます。
5曲から構成されており、長さは1時間です。
知床オホーツク
流氷同士のぶつかり合う音、そしてそこに風が吹きつける音、凍った波が打ち寄せる音など極寒を感じさせる自然音から雪解けの水辺、初夏の川辺のせせらぎ、そしてシマフクロウやタンチョウヅルの鳥のさえずりなどが収録されており、北海道の四季を感じながら仕事ができます。
11曲から構成されており、長さは1時間7分です。
富士山麓
富士山麓のさまざまな鳥たちが奏でるさえずり、忍野八海の穏やかな水流、白糸の滝に落ちる水の調べ、それらを富士山の春夏秋冬を通じて収録されており、富士山の自然を堪能しながら作業がはかどります。
8曲から構成されており、長さは1時間7分です。
定価はどれもCDは1500円ですが、MP3でも購入できます。Amazonプライム会員であればすべて無料で聴くことができます。
テレワークをしながら程よい音量でこれらの背景音を流しておくとほとんど気にならずに自然の中で仕事をしているように感じられ作業の方に集中ができます。
まとめ
自宅でのテレワークの場合はオフィスとは異なりテレワークする環境を自分に合わせて自由に築くことが可能になります。
それを利用して背景音をスピーカーから適した音量で聴きながら作業をすることで作業の効率を上げることができます。
新しいアイデアを思いつきたい場合は背景音を少し騒がしめなカフェなどのノイズにすると創造性を高めることができます。
普段の通常作業の場合は背景音をあまり気にならない音量で自然音にすると集中力を高めることができます。