テレワークでは、上司や部下、同僚が周りにいない場所で作業するケースが多くなります。そのため、集中力が散漫になり、継続して業務を遂行するのが難しいと思われがちです。そんな悩みや不安を解決するために今回紹介するのが、ポモドーロテクニックです。全部で3部構成になっています。第一弾のこの記事では、ポモドーロテクニックとはどんな手法かを簡単に説明します。
ポモドーロテクニックとは
ポモドーロテクニックとは、Francesco Cirillo氏によって開発された時間管理の手法です。ポモドーロ(Pomodoro)とはイタリア語でトマトを意味しますが、ポモドーロテクニックではトマト型のキッチンタイマーを使用することからこの名前がつけられました。世の中には多種多様な時間管理の手法がありますが、その中でもポモドーロテクニックは短期間で習得することができ、すぐに生産性を改善することができます。
用意するもの
- キッチンタイマー(※)
- タスクリスト
- 今日やることリスト
- 記録シート
※ 正確な時間が計れれば、キッチンタイマーでなくとももちろん大丈夫です。現在は、昔ながらのトマトタイマーかつデジタルのキッチンタイマーも存在しています。
やり方
基本は以下のように作業と休憩を繰り返します。25分の各作業をポモドーロと呼びます。
25分作業 → 5分休憩 → 25分作業 → 5分休憩 → 25分作業 → 5分休憩 → 25分作業 → 15分休憩
- プロジェクト開始時や計画段階で、その目的を達成するために必要なタスクをリストアップし、タスクリストに書き込みます。
- 毎日仕事開始時に、タスクのポモドーロ数を見積もり、タスクリストに記入します。すでに見積もってある場合でも、必要な場合、再見積もりします。
- その日の最初に、タスクリストからタスクを選び、優先度順に今日やることリストへ書き込みます
- キッチンタイマーを25分にセットし、作業を開始します。
- キッチンタイマーが鳴ったら、作業を中断し、今日やるリストにある作業中のタスクの行にxマークをつけ、5分休憩します。
- 休憩が終わったら、再度キッチンタイマーを25分に設定し、作業を再開します。これを繰り返します。
- 4ポモドーロが完了した時点で15分の休憩をとります。
- その日の終わりに、各タスクと最初のポモドーロ数の見積もり、タスク完了まで必要だったポモドーロ数を記録シートに記入。
ポイント
ポモドーロ(25分の作業)
- 25分の作業中は純粋に作業に集中します。途中で中断してしまった場合はそのポモドーロは無効となり、新しいポモドーロ(タイマーを25分にセット)をスタートさせます。
- ひとつのタスクの見積もりポモドーロ数が5~7以上になった場合はタスクを分割しないといけません。その理由としては、シンプルなタスクは、正確に見積もりができます。また、大きなタスクを分割することによって、インクリメンタル(小さい成果を少しずつ出していく)に結果を出せますし、目的を達成しようとする気持ちが継続できます。
- 見積もったポモドーロが完了してもタスクが終了しない場合、更に必要なポモドーロ数を再度見積もりなおします。この再見積もりが3回必要になったら、見積もりがなぜそんなに複雑なのか理解するために、タスクの見直しが必要です。
- キッチンタイマーのカチカチ音は、最初はいらいらするかもしれませんが、そのうち、その音=作業中として認識され、より作業に集中できます。そして、そのうち、カチカチ音が聞こえなくなるほど集中できるようになります。
休憩
- ポモドーロの後は必ず作業を中断させます。あとちょっとだけ、といってポモドーロを数分延長して作業を継続することはできません。
- この休憩では、直前のポモドーロから気持ちを切り離す必要があります。25分間のポモドーロ中に学んだ事を頭に取り込ませる必要があるからです。
- Francesco Cirillo氏によると、多くの人がポモドーロテクニックを実践することで、気持ちを切り離すことの価値と効果を実感し始めるそうです。この休憩により、別の視点から物事を認識したり、別の解決方法を思いついたりできる、と説いています。
- 休憩中に、誰かと仕事の話をしたり、重要なメールを書いたり、といった精神的な努力が必要な行為はしてはいけません。直前のポモドーロで行った事について考え続けるのもよろしくないです。
- 健康面からも、立ったり歩いたり水を飲んだりすると良いでしょう。
- 短い休憩は、基本は5分で、短くても3分は必要です。
- 長い休憩は、基本は15分で、長くても30分までです。机の周りを片付けたり、コーヒーをいれたり、散歩したりします。大事なのは複雑な事はしない。直前のポモドーロについて考えるのもだめです。でないと、学んだ事を認識して頭に取り込むことが難しくなります。また、次のポモドーロでうまく効果がだせなくなります。
記録
- 1日の終わりには完了したタスクと必要だったポモドーロの数が分かります。
- 記録する、ということは、自己観察や意思決定の観点から、プロセス改善の強力なツールとなります。
- 同じ品質でも少ないポモドーロ数で行えないか、何を省けばよいか、どうタスクを再編成すればもっと有効か、など改善のための方法を考えます。
参考元
こちらの本に、ポモドーロテクニックに使用するシートのテンプレート、具体的なシナリオ、より効果的にするためのヒント、ポモドーロテクニックをチームで行う方法など紹介されています。また、テクニックだけではなく、心理的側面からの説明もあるので、なぜポモドーロテクニックが有効かを深く知るために、ぜひご一読ください。The Pomodoro Technique: The Acclaimed Time-Management System That Has Transformed How We Work (English Edition)
著者 Francesco Cirillo