【2019年度版】東京23区働き方別・保活難易度まとめ【自営業、内職、在宅勤務】

少子高齢化でありながら、保育園の数はいまだ十分とはいえず、待機児童問題は特に大都市圏を中心に大きな問題として、若い働く・働きたい夫婦にのしかかっています。

一方、近年では自営業やフリーランスとして働いたり、サラリーマンであっても自宅で働いたりと、多様な働き方をする人が増えています。

以前は、自営業など、在宅で仕事することは保育園の選考基準では不利になることが多くありましたが、2019年現在、状況はどうなっているのでしょうか。

そこで、今回シゴトバでは2019年4月入園分の保育園申し込みについて、フルタイム(※)で働く人を対象に、雇用形態や働く場所で不利となることがあるのかについて調査を行いました(各区の保育園申し込み案内の調査・区への電話調査)。

この記事では、東京23区についてまとめました。

※フルタイムの定義は、区によって異なります。一般的には1日8時間(休憩時間を含む)、週5日とするところが多いようです。

 

自営業には不利な区

まずはじめに、自営業が不利となるのかについてです。

意外に思われる方もいるかもしれませんが、実は2019年度春入園の保育園入園選考では、居宅外就労の場合、サラリーマンと自営業の事業主で異なる点数となる区は一つもありませんでした。

どこの区も、提出書類に差こそあれ、居宅外就労であることが認められた場合、自営業の事業主である場合でも点数自体を落とされてしまうことはないようです。

しかし、千代田区、墨田区、板橋区は選考において同一指数となった際に居宅外就労(外で勤めているサラリーマン)が優先されます。

さて、自営業で指数上は不利とならないのは、居宅外事業主に限った話。

居宅内事業主や、夫婦のどちらかや、親族の経営する企業・自営業で働いている場合には、注意が必要です。

居宅内自営業には不利な区

居宅内で自営業をしている人に厳しい区が千代田区、中央区、目黒区、足立区、練馬区、豊島区です。練馬区は居宅内の事業主に対しての減点はありませんが、後述する自営業の協力者とみなされると大幅減点があります。

 一般的なサラリーマンの指数自宅で自営業の指数
(調整指数を用いて減点している区は、減点後の指数)
千代田区109
中央区20中心者:19
協力者:17
目黒区2019
足立区2322
練馬区40中心者:40
協力者:34
豊島区109

協力者に注意

夫婦どちらか、もしくは親族が事業主となっている会社で働いたり、自営業を一緒にしていたりすると、居宅外就労をしていたとしても「自営業における協力者」とみなされて不利となる区がこちらです。杉並区など、区によっては「協力者」という言葉を使っていないところもあります。

 一般的なサラリーマンの指数自営業の協力者の指数
(調整指数を用いて減点している区は、減点後の指数)
中央区20居宅外:20
居宅内:17
新宿区20居宅外:19
居宅内:18
文京区10居宅外:9
居宅内:9
台東区20居宅外:19
居宅内:19
中野区20居宅外:19
居宅内:19
杉並区20居宅外:18
居宅内:18
荒川区20居宅外:19
居宅内:19
練馬区40居宅外:40
居宅内:34

この協力者の定義は区によって異なります。入園案内に定義が記載されていない区もありましたので、担当者としっかり確認するようにしましょう。

賃金が低い場合協力者とみなす

従業員として最低賃金が支払われているかどうかを見ているのが、新宿区、台東区です。これらの区では、最低賃金が支払われていることさえ確認できれば、協力者として減点されることはありません。また、杉並区では給与収入が103万円以下の場合は減点があります。

事業主・法人経営者以外を協力者とみなす

一方、事業主・法人経営者以外はすべて協力者としてみなされてしまうのが、中野区、葛飾区です。適正な給料を支払われていようがいまいが、関係ありません。

内職には不利な区

これらの区は、あなたの仕事が個人事業主でなく、家内労働法における家内労働者であった場合に減点されてしまう区です。内職は、居宅内個人事業主や企業に雇用されて行う在宅勤務と同様に居宅内で行う仕事です。しかし、在宅勤務や居宅内個人事業主と比べると、保育園の入園という観点からはとても不利な立場におかれているようです。

 一般的なサラリーマンの指数内職の指数
(調整指数を用いて減点している区は、減点後の指数)
中央区2012
墨田区206
江東区124
品川区2012
大田区117
世田谷区5020
渋谷区2014
杉並区2014
板橋区3015
練馬区4012
足立区2314
江戸川区5015

在宅勤務者・テレワーカーは要注意な区

以下にあげる区は、たとえ企業に雇用されたサラリーマンであったとしても、主な勤務地が自宅であるとみなされると減点されてしまう区です。よく見ると、居宅内自営業に不利な区とほぼ同じであることがわかります。国・東京都が力を入れてテレワークの普及・促進を行っていますが、これは大きな阻害要因です。

 一般的なサラリーマンの指数在宅勤務なサラリーマンの指数
(調整指数を用いて減点している区は、減点後の指数)
在宅勤務かどうかの基準
千代田区109勤務証明書の「実際の勤務地」がどこか
中央区2019勤務証明書の「勤務先住所」がどこか
目黒区2019勤務証明書の「勤務先所在地」がどこか
(1日あたり4時間以上の外出が3日以上あると居宅外として扱う)
足立区2322勤務証明書の、「実際の勤務場所」がどこか
豊島区109就労証明書の、「実際の勤務地」

千代田区は、平成31年度(2019年度)の変更点として「多様な就労形態に対応するため、居宅内労働の就労内定を追加します。」としています。制度改善に努めているのは嬉しいところですが、まずは居宅内外での点数を平等にすることが多様な就労形態へ第一歩ではないでしょうか。。。

さて、これらの区ですが、オフィスに自分の席はあるものの週1,2日程度在宅勤務する、という方はさほど問題にはならないでしょう。どの区も、勤務証明書を参照しますので、そこにオフィスの住所を書いてもらえれば大丈夫です。ただし、週の半数以上や毎日在宅にて仕事を行う場合は注意する必要があります。勤務証明書の勤務地に自宅と記載されてしまうと、在宅勤務とみなされますので、人事やマネジャーとよく話し合っておく必要があります。

どのような働き方でもOK!な区

最後に、どのような働き方でも(居宅内でも居宅外でも、サラリーマンでも自営業でも内職でも)区別されないことが明記されている区は、港区、北区の2区です。

また、北区は就労として「外勤、自営、在宅勤務」を平等に扱っています。なにより、在宅勤務を明記している点がとても先進的です。

余談ですが、港区は土地柄会社の経営者が多いのか、今回の調査では唯一、自営業のほかに、「会社代表経営者等」という枠が明記されておりました(他の区では自営業としてひとまとめ)。

あなたがサラリーマンなら

一方、オフィスに通うサラリーマン夫婦であった場合、この2区は保活において不利になることが予想されます。なぜならば、「自営業や在宅勤務をする人が不利ではない=サラリーマンに有利とはならない」からです。

まとめ

今回、シゴトバでは東京23区を対象に、働き方別に、どの区が保育園に入りやすいのかについて調べてまとめました。

保活難易度23区まとめ
  • 居宅外の場合、サラリーマンも自営業もほぼ平等(協力者除く)
  • 居宅内で働く人(サラリーマン、事業主)は不利となる自治体が多い
  • 多様な働き方に対して先進的なのは港区・北区

なお、今回の調査では待機児童数については触れていませんが、これもまた区によって大きく差があります。さらに、所得によっては認可保育園よりも認証保育園の方が安く保育の質が良い地域もあるため、一概にはどの区が良くてどの区が悪い、ということは言えません。今回は、あくまでも多様な働き方に対してそれぞれの区がどのように考えているのかを知る指標として参考にしていただければと思います。