デジタルトランスフォーメーション (DX) で働き方改革!テレワークとの関係は?

「デジタルトランスフォーメーション」という言葉を耳にしたことがありますか?ごく最近になって使われ始めた言葉なので、もし聞いたことがあっても意味がよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、働き方改革やテレワークとも密接な関係にあるデジタルトランスフォーメーションについて紹介します。

デジタルトランスフォーメーション (DX) の概要

デジタルトランスフォーメーション (DX) の誕生

デジタルトランスフォーメーションは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念です。2004年にスウェーデンのエリック・ストルターマン教授(ウメオ大学)が提唱しました。

デジタルトランスフォーメーションの省略形はDX

デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation)の略語は「DT」が自然のように感じますが、「DX」と表記します。これは英語では「trans」を「X」と略する慣習があるためです。例えば、トランシーバー(Transceiver)は「XCVR」と省略して表記します。

プラットフォームの変遷

2016年に「IDC JAPAN」がITプラットフォームの3つのフェーズによりデジタルトランスフォーメーションを説明しています。

フェーズ1.メインフレーム/端末システム

フェーズ2.クライアント/サーバーシステム

フェーズ3.クラウド・ビッグデータ/アナリティクス/ソーシャル技術/モビリティー

現在、企業のプラットフォームはフェーズ2からフェーズ3への移行段階にあり、フェーズ3への完全移行こそがデジタルトランスフォーメーションなのです。

デジタルビジネス

「ガートナー」は、「人とモノと企業もしくはビジネスの結び付きが相互作用をもたらす」状態を「デジタルビジネス」と呼び、「仮想世界と物理的世界が融合され、モノのインターネット(IoT)を通じてプロセスや業界の動きを変革する新しいビジネスデザイン」と定義しています。

そして、デジタルビジネスへの改革プロセスを「デジタルビジネストランスフォーメーション」と定義しているのです。

デジタルトランスフォーメーション (DX) の具体例

抽象的でちょっとわかりにくいデジタルトランスフォーメーションの概念ですが、DXを実現している最先端の企業やサービスを思い浮かべるとわかりやすいと思います。

<デジタルトランスフォーメーションの実践例>

  • 「Amazon」小売流通の革命に留まらず、さまざまなサービスを一元的に提供
  • 「Uber Lift」カーシェアリングサービス
  • 「Airbnb」民泊マッチングサービス
  • 「Spotify」音楽ストリーミングサービス
  • 「Netflix」映像ストリーミング配信サービス

いずれもこの数年で爆発的に普及しているDXによるサービスですが、残念ながら日本発のサービスはあまり目立ちません。それぞれの技術力は高いのに、意思決定の速さやパッケージングの巧さに欠けることが原因と言われています。また、さまざまな法規制や既存業界の反発、著作権の扱いなどが障壁になっているようです。

デジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組むか否か。今後ますます激しくなるインターナショナル・マーケットでの勝敗が分かれてきそうです。

日本におけるデジタルトランスフォーメーション (DX) の動き

デジタルトランスフォーメーション (DX) に向けた研究会

経済産業省が2018年5月に「デジタルトランスフォーメーションに向けた研究会」(座長:青山幹雄南山大学理工学部ソフトウェア工学科教授)を設置。国内企業がDXを実現するための課題の整理と対応策の検討を行い、『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』(2018年9月7日公表)を報告しました。

DX推進ガイドライン

研究会の報告をもとに、経済産業省が2018年12月に「デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するためのガイドライン」(DX推進ガイドライン)を作成しました。「DX推進のための経営のあり方、仕組み」と、「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2部で構成されています。

攻めのIT経営銘柄2019

経済産業省は2018年12月に「攻めのIT経営銘柄2019」を選定すると発表しました。激しい国際競争にICTを駆使して立ち向かう攻めの経営をしている上場企業を選定する事業です。この選定にあたってもDX推進ガイドラインの観点が重要視されます。

国内企業のデジタルトランスフォーメーション (DX) 取り組み事例

国内企業では「ZOZOTOWN」や「メルカリ」といった小売流通系をはじめ、製造・金融・旅客などさまざまな分野でデジタルトランスフォーメーションへの取り組みが始まっています。

「コマツ」・・・建機のネット接続だけでなく、工事現場丸ごとデジタル化

「デンソー」・・・複数の交通機関を連携させて人やモノの移動を支援する「マルチモーダル」コンセプト

「IDOM」・・・個人間カーシェアリングサービス「GO2GO」をローンチ

働き方改革との関係

それでは、デジタルトランスフォーメーションと働き方改革にはどのような関係があるのでしょうか。

Microsoftは、デジタルトランスフォーメーションによって「データドリブンによる意思決定と行動」、「組織横断のコラボレーション」、「働き方の見える化」がもたらされ、生産性が最大化されると説明しています。

クラウドや分析ツールを活用することにより各社員に行動変革が起き、会議や移動などでの無駄な時間が減少して働き方改革が実現するのです。

テレワークとの関係

デジタルトランスフォーメーションによってテレワークが実現し、テレワークがデジタルトランスフォーメーションを加速させます。

従来のクライアント/サーバーシステムを脱し、全てのシステム及びデータをクラウドサーバーに置けば、場所や時間、デバイスを選ばずにテレワーカーがあらゆるデータにアクセスできます。また、ビデオチャットシステムなどを使えば自宅やサテライトオフィスからでも会議に参加可能です。

このように本格的にテレワークを導入するにはデジタルトランスフォーメーションは欠かせない要素となってくるのです。

まとめ

激化する国際競争を勝ち抜く必要がある国内企業の経営者にとって、誰よりも早くデジタルトランスフォーメーションを実現することが必須となります。また、デジタルトランスフォーメーションは社員に働き方改革をもたらしてくれる要素でもあります。そして各社員が自ら積極的にクラウドやビッグデータ、AIなどを活用できるようスキルアップしていく必要があるのです。

デジタルトランスフォーメーションによって「いつでも、どこでも、どのデバイスでも」仕事ができる環境が整えば、テレワークやワーケーションといった多様な働き方が可能になります。ぜひ積極的にデジタルトランスフォーメーションを推進していきましょう。