新型コロナウイルス感染症の問題が発生して以降、日本国内の企業が積極的にテレワークを取り入れ、Web会議の利用も拡大しています。
Web会議に欠かせないツールの一つがWebカメラですが、自身の顔やデスク周り、自室の背景が映ることに抵抗を感じる方も少なくありません。
実際にシゴトバの調査では、Web会議のカメラ利用に対して回答者の50%が「抵抗あり」と回答しています。
今回はテレワークにおいてWebカメラを利用する際の注意点、および具体的なプライバシー対策について解説します。
Contents
テレワークにおけるプライバシーの問題
結論から言うと、テレワーク、とく在宅勤務では従業員のプライバシー確保が重要です。
これが保障されないと、従業員に対するテレワークハラスメントや個人情報保護法違反などのリスクがあります。
テレワークハラスメントとは、たとえば従業者が拒否しているにも関わらずWebカメラをオンにすることを強要したり、顔を見せるようしつこく連絡したりといったことです。
カメラで顔や室内を映すことを強要するのは、従業員のプライベートに踏み込むことになりかねません。テレワークハラスメントは企業にとって看過できないリスクであり、訴訟を提起された場合の弁護士費用などを補償する保険商品も登場しているほどです。
Webカメラを利用する際の注意点
個人情報保護委員会は個人データ取扱業務に関して、従業員をビデオおよびオンライン等で監視するモニタリングを実施する際に、個人情報保護法の観点から次の4点に留意すべきとしています。
- モニタリングの目的をあらかじめ特定した上で、社内規程等に定め、従業者に明示すること
- モニタリングの実施に関する責任者及びその権限を定めること
- あらかじめモニタリングの実施に関するルールを策定し、その内容を運用者に徹底すること
- モニタリングがあらかじめ定めたルールに従って適正に行われているか、確認を行うこと
参考:「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」及び「個人データの漏えい等の事案が発生した場合等の対応について」に関するQ&A
これら4つの留意点は個人データ取扱業務に関するものですが、テレワーク中の従業員にWebカメラで自身を撮影させる場合にも参考になると考えられます。
企業側は従業員の撮影が果たして業務上本当に必要なのか、従業員のプライバシーや個人情報を侵害していないか、留意点を踏まえて慎重に検討する必要があります。
Webカメラで従業員のプライバシーを侵害しないための工夫
テレワークにおいてWebカメラで従業員のプライバシーを侵害しないためには、どのような対策があるでしょうか?
具体的な工夫について考えてみましょう。
バーチャル背景の利用
バーチャル背景は今般の新型コロナウイルス感染症拡大でテレワークが浸透し始めた頃にメディア等で話題になったこともあり、ご存じの方も多いのではないでしょうか?
Webカメラで撮影する際に従業員の室内や家族が映り込まないようにする工夫のひとつで、おもにバーチャルオフィスツールの「Zoom」で注目されるようになった機能です。
しかし、バーチャル背景を設定するにはフラットなカーテンやプラスチックダンボールによる仕切りが必要となります。
しっかりと準備をしたつもりでも、本人が背景に溶け込んでしまうなど失敗するケースも見られ、決して万能ではありません。
室内用テント
Webカメラに室内や家族が映り込まないようカーテンやパーテーションで仕切る方も多いですが、部屋の中に自分用スペースを確保できる「室内テント」という商品もあります。
デスク・チェアごとテントですっぽりと包み、その中で作業をするため、本人以外がWebカメラへ映り込むことを回避できます。
設置も簡単にでき、不要時はコンパクトに畳み収納するため、場所も取りません。
ただし、テレワークごとに毎回設置する必要があること、狭くて圧迫感があることから、これも万全な対策とは言い難いでしょう。
最初からカメラをオフにする
従業員にとってテレワーク中に常に自分の姿が撮影され続けるというのは不快であることが多く、前述したように強制は従業員のプライバシーを侵害するおそれもあります。
それならば、最初からWebカメラをオフにして、音声やチャット、パソコンの画面の中でコミュニケーションを図るという方法を試してみてはいかがでしょうか?
この方法を採用する場合は、企業側がWebカメラを使わないことを前提としたテレワークの仕組みや業務管理を考えなければなりません。
モニタリングという観点からは不十分かもしれませんが、従業員の精神的負担を抑え、よりテレワーク中の業務に集中させる効果もあります。
まとめ
テレワークにおけるWebカメラ使用の注意点とその対策について解説しました。
新型コロナウイルス感染症の問題以降、多くの企業がテレワークの導入を進めている中、企業側はテレワークハラスメントのような新たな問題について考えなければならない時期に来ています。
Webカメラはテレワーク中でも相手の顔を見ながら会話できる便利なデバイスですが、従業員のプライバシーまで侵害してしまうリスクがあることを忘れてはなりません。