テレワーク先駆者百選企業に聞く、テレワークのコツとは?株式会社キャスター編

シゴトバでは、総務省の「テレワーク先駆者百選」に認定された企業の方をゲストにお招きし、オンラインイベントを行っています。

今回は第二弾として、株式会社クロスリバー代表取締役社長CEO/株式会社キャスター執行役員・働き方コンサルタントの越川慎司さんをお招きして、テレワークやリモートワークの導入を成功に導くための秘訣について伺いました。

テレワーク先駆者百選とは

「テレワーク先駆者百選」とは、総務省が主催するテレワークの導入・活用を進めている企業・団体を「テレワーク先駆者」として選出し、その中でも十分な実績を持つ企業・団体を「テレワーク先駆者百選」として公表する取組みです。

さらに、テレワーク先駆者百選の中でも、他社が模範とすべき優れた取組みを行っている企業が「テレワーク先駆者百選 総務大臣賞」に選出されます。

株式会社キャスターはその取組みが認められ、2020年にテレワーク先駆者百選総務大臣賞を授与されています。

テレワーク導入を成功に導くための秘訣

越川さんの分析によると、リモートワークの導入に失敗している企業の特徴は以下のとおりです。

  • リモートワークという「手段」が「目的化」している
  • 「成功」の定義が決まっていない

「リモートワークという手段を用いて、会社の成長と社員の幸せを両立すること」という基本設計が上手くできていれば、働き方改革の成功確率は3倍に上がります。

では、実際に社員が働きがいを持って取り組むことができるリモートワークとは、具体的にどうやって実現すれば良いのでしょうか?

株式会社キャスターが実際に行動実験を行って立証した「リモートワーク導入を成功に導くための7つのアクション」をご紹介します。

これからテレワークを導入する企業の担当者の方、もしくはチーム内のテレワークが上手くいっていないと感じている方は、1~7のうち取り入れられそうなところから実践してみてください。

①雑談で心理的安全性を確保する【特に重要】

心理的安全性とは、「何を話しても自分は安全だ」という状態のことを指します。

メンバー同士のコミュニケーションが上手く行っていて心理的安全性が確保されているチームには、以下のような特長があります。

  • 会議時間が短くなる
  • 総労働時間が短くなる
  • チーム目標が達成しやすい

株式会社キャスターの調査では、メンバーの心理的安全性が確保されていると感じるチームの89%が「リモートワークが上手く行っている」と答えています。

では、どうやったらメンバーが心理的安全性が確保されていると感じることができるのか、その具体的な方法が「雑談をすること」です。

オンライン社内会議の冒頭2分間、仕事とは関係ない雑談の時間を設けましょう。

たった2分間の雑談があることでメンバーがアイデアや意見を出しやすい環境が醸成され、オンライン会議の目的が雑談をしなかった場合よりも早く達成されます。

株式会社キャスターがクライアントにアンケート調査をしたところ、雑談は「飲食」に関する話題がもっとも最も良いという結果が出ています。

オンライン会議が無駄に長い、いつまで経っても意見がまとまらないと感じている企業は、ぜひ「冒頭2分間の雑談」をおすすめします。

②業務の見せる化を浸透させる

どれだけITツールを導入したところで、メンバーの進捗状況は「見える化」しません。

リーダーからメンバーに業務を伝え、メンバーが進捗状況をリーダーに伝えられる「見せる化」の文化を作り上げることが大切です。

そのためには、リーダーとメンバーの対話を増やし、「行動目標を一緒に考え、実行する」を話し合う機会を設けましょう。

リーダーが行動目標を握り、進捗をメンバーから伝えられるようになれば、リモートワークの課題である管理コストも削減できます。

③情報の透明性を保つ

情報の透明性を保つには、情報共有のルールを徹底することが重要です。具体的なルールと期待できる効果は以下のとおりです。

具体的なルール期待できる効果
予定表とプレゼンス(出欠)の共有業務が+27%のスピードアップ
資料はクラウドにアップ・クラウドで検索資料を探す時間が週61分の削減
連絡はメールからチャットへメッセージ作成の手間を1/3に削減

3つのうち、1つからでも実践してみてください。

④感情を共有する【重要】

リモートワークにおける感情共有は、情報共有よりも大切です。

テレワークやリモートワークでは、孤立化や精神的なストレスが大きな問題となります。

Web会議ツールやビジネスチャットでは、チーム内で「いいね!」や「88888(拍手の意)」、スタンプを積極的に使っていきましょう。

感情共有はメンバーの承認欲求を刺激し、メンバーの「もっと発言したい、意見を出したい」という雰囲気を醸成することで、①でも解説した心理的安全性が確保されます。

⑤孤立化を防ぐ声がけ

チーム内で1人でも孤立化させてしまうと、リモートワークは上手く行きません。

リモートワークを成功させるためには、1人のエース級の人材よりもメンバー同士のチームワークが大切です。

孤立化を防ぐ声かけは、出勤してもリモートワークでもうまくいっているチームが最も使っていた「今ちょっといいですか?」をおすすめします。

メンバーがリーダーに対して、気軽に「今ちょっといいですか?」と声かけができる雰囲気づくりは、リモートワークでチームが目指すべき指標にも重なります。

⑥ファン要素を入れる

ファン(=fun、楽しい)要素を取り入れることで、メンバーの「リモートワーク疲れ」が解消されます。

①で紹介した冒頭2分の雑談も対策のひとつです。

リモートワークが上手く行っているチームは、たとえばペットを飼っている人はWebカメラにペットを登場させたり、Web会議中のアイコンや背景に遊びを入れたりするなど、さまざまなファン要素を企画しています。

孤立化や精神疾患のリスクもあるテレワークを1年以上の長期にわたって継続する場合、ファン要素はきわめて重要なポイントとなります。

⑦長時間労働を抑制する時間管理【特に重要】

リモートワークの導入が上手く行っていない企業は、導入前よりも労働時間が17%伸びてしまっているという調査報告があります。

それら企業における1週間のリモートワークの労働時間を分析すると、1位「社内会議」が43%、2位「資料作成」が14%、3位「メール」が11%という内訳でした。

長時間労働の原因トップ3の業務はいずれも情報共有のための時間であり、すなわち情報共有のための無駄な時間を削ることが、リモートワークの長時間労働を抑制するカギとなります。

業務の生産性を高めるために大事な要素は、意思決定を早めることと、企画・アイデアを出すことです。

さらに言えば、企画・アイデア出しの時間を増やせば増やすほど、企業の売上や利益に直結します。

リモートワークの労働時間のうちどの業務に時間を割き過ぎていたか、無駄を減らすには具体的に何を改善したらいいか、1週間に1度は振り返りをしてみてください。

株式会社キャスターの紹介

株式会社キャスターは、多くの企業を相手にリモートワーク支援を手がける会社です。

「リモートワークを当たり前にする」をミッションに掲げ、創業以来フルリモートワークでの組織運営、現在800名以上のリモートワーカーが在籍中です。

まとめ

働き方コンサルタントの越川慎司さんをお招きして、テレワーク・リモートワーク導入を成功に導くための秘訣について伺いました。

越川さんのお話では、企業がテレワークの導入に失敗する原因は、本来は手段であるはずのテレワークや働き方改革を目的化してしまっていることが明らかとなりました。

本記事でまとめている「テレワーク導入を成功に導くための秘訣」は、明日からでも実践できる行動ばかりです。

テレワーク導入を検討されている企業の担当者の方、いま現在テレワークが上手く行っていないとお悩みの方は、まず行動から変えて行きましょう。

テレワーク先駆者百選企業の方、募集中

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