テレワーク先駆者百選企業に聞く、テレワークのコツとは?株式会社ニット編

シゴトバでは、1ヶ月に1度、総務省の「テレワーク先駆者百選」に認定された企業の方をゲストに招いたインタビュー形式のイベントを行っています。

今回はその第1段として、オンラインアウトソーシングサービスを展開する「株式会社ニット」広報の小澤美佳さんをお招きして、テレワークの取組やテレワーク導入のコツなどをおうかがいしました。

テレワーク先駆者百選とは

「テレワーク先駆者百選」とは、総務省が2015年度からテレワークの導入・活用を進めている企業・団体を「テレワーク先駆者」とし、その中から十分な実績を持つ企業等を選出して公表する取組です。

「テレワーク先駆者」および「テレワーク先駆者百選」は外部有識者による審査会で選出され、「テレワーク先駆者百選」に認定された企業等はホームーページやパンフレットで総務省制定のロゴを使用することができます。

テレワーク導入の目的と経緯

同社は2017年の創業時より全員フルリモートでの業務を続けており、オンライン花見・子ども職場体験・世界一周旅行などのオンラインイベントも毎月実施しています。

テレワークの導入に至った経緯は、「子育てや介護といったプライベートにかかわらず、どんな人でも時間と場所に縛られない働き方が実現できるように」という思いがあります。その実現のために、チームでワークシェアリングするという体制を構築し、創業時から変わらずテレワークというスタイルでの運営が可能になったのです。

テレワークの実際(何人くらいでどのように行っているか等)

株式会社ニットは東京の五反田にオフィスを構え、社員数:13名、業務委託も含むと約400名のメンバーが在籍しています。メンバーがオフィスに常駐するようなことはなく、基本的には各自が思い思いの時間と場所で業務を進めます。

テレワークでもっとも大切な要素は「情報の見える化」です。たとえば、オフィスに出社すれば社員と話す、資料を受け取るといった形で情報共有がなされますが、テレワークでは直接対面してのやりとりがないため、情報はすべてクラウド上に蓄積され、だれもがアクセスできるという仕組みが必要不可欠となります。

同社はクラウド上での情報管理を重視して、日本全国・世界33か国のメンバーが場所や時間に捉われずに働くことができる体制を構築しています。

テレワークのコミュニケーション課題・その対策

テレワークの導入にあたり、もっとも懸念される課題のひとつが「コミュニケーション」です。

従来のオフィス出社で行っていた「業務の話」はもちろん、「ちょっとした相談」や「雑談」も、メンバーが安心して働くためには不可欠な要素であり、テレワークではこれらすべてをオンライン上で実現する必要があります。

株式会社ニットでは、メンバーの心理的安全性をつくるには「コミュニケーションの質」よりも「頻度の設計」が重要であると認識、オンラインでもメンバー同士の繋がりや文化醸成を実現するための取組を行っています。

たとえば、事業ミーティングや個人面談など業務に関わるコミュニケーション、週に1回×30分のWeb座談会や月に1回のWeb飲み会、さらにはオンライン花見など季節のイベントも開催しています。

さらに、テレワークではメンバーの「頑張りすぎ」にも注意しましょう。

テレワークを導入するにあたっては、メンバー各自が「仕事は成果である」という発想の転換が必要です。

「夜まで頑張って働く」「頑張っている姿を見せる」といった従来の働き方で美徳とされていた概念は、テレワークではむしろストレスの原因となり、「サイレント鬱」や「在宅ワーク鬱」といったリスクを引き起こしてしまいます。

このようなリスクを回避するためにも、積極的に雑談をしたり、休息をとったりするなどのケアも大切です。

テレワークのコミュニケーションツール、使い方や工夫している点

ニット社内でのチャットツールは『チャットワーク』を使い、お客様からご要望があれば『Slack』や『ラインワークス』なども対応します。また情報を蓄積するクラウドサービスはサイボウズ社の『kintone』、テレビ会議ツールは『Zoom』を利用しています。

ツールの使い方や運用方法については、社内のプロフェッショナルがメンバーの意見を聞きながら、解説・教授しています。

オンラインコミュニケーションの工夫としては、同社では業務に関するもの、業務外に関するもの合わせて40個のオンラインコミュニティがあります。

たとえば、業務に関するコミュニティは「新人育成強化」や「SNS運用スキルアップ」など、業務外では趣味でつながる「ペットわんにゃんの会」や「キャンプの会」など、チャットワークのグループ機能やZoomなどを使い、社員のコミュニケーションをオンライン上で実現する取組にチャレンジしています。

このようにテキスト中心のチャットツール、相手の顔が見えるテレビ会議ツールなど、それぞれの特性を活かして適宜使い分け、コミュニケーションを円滑に進めていくことが大切です。

今後の取組

株式会社ニットの今後の取組として挙げるひとつが「ワーケーションの実現」です。ワーケーションとは、観光地やリゾート地でテレワークを活用しながら働きつつ、休暇(バケーション)をとる取組を指します。

同社はワーケーションの実証実験として、メンバー数名がリゾート地でテレワークのセミナーを開催しながら、ダイビングを楽しむといった取組を行いました。テレワークでどこでも仕事ができるからこそ、あえてメンバーがリゾート地に足を運び、現地で課題を解決しようという試みです。

もうひとつの課題として、お子さんたちにテレワークを経験してもらう、未来の社会人にオンラインの可能性を感じてもらうという取組も行っています。具体的には、夏休み企画としてメンバーのお子さん向けにオンライン職場体験を実施しました。

まとめ

テレワーク先駆者百選企業「株式会社ニット」広報の小澤美佳さんをお招きして、テレワークの取組やテレワーク導入のコツなどをおうかがいしました。

今回のインタビューで明らかとなったテレワーク先駆者が重視するポイントの一つに、「働くということの概念を見直す」が挙げられます。

従来のオフィス勤務からテレワークへの移行は、単に「会社で働くか、会社以外の場所で働くか」の違いだけではなく、仕事への取り組み方や考え方そのものを転換する必要があるのではないでしょうか。

テレワーク導入を検討されている企業様、担当者様が、株式会社ニットの取り組みから、テレワーク導入のコツや課題解決の糸口を掴んでいただけたら幸いです。

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