これからテレワークを導入したいとお考えの企業の方が知っておきたいテレワーク導入プロセスとポイントについてまとめました。
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テレワークとは
テレワークとは、時間や場所にとらわれない働き方のことです。リモートワークという言い方をする企業・団体もあります。
情報通信技術(ICT : Internet Communication Technology)の発展によりインターネットを介して地理的に遠くの人と働くことが可能になり、オフィスの外(自宅やカフェ、サテライトオフィスなど)で働いたり、国外の仲間と働いたり、従来の働き方と違う様々な就業形態が可能になりつつあります。
テレワーク導入における課題
業務の生産性の向上や、社員のQOL(Quality of Life)の向上など、様々な効果が期待できるテレワークですが、いざ社内で導入するとなるとクリアしなければならない様々な課題があります。
- 課題1.働き方の変化に対して、社員が不安を感じる
- 課題2.労働時間管理が難しい
- 課題3.人事評価が難しくなる
- 課題4.コミュニケーション不足になりやすい
- 課題5.より強固なセキュリティが必要となる
これらのテレワークを導入する際に想定される課題について、注意するべきポイントとその対策(制度やツールの導入など)についてまとめました。
テレワーク導入プロセスの理解
テレワークを導入するにあたって、どのようなステップが必要なのでしょうか。ここでは、総務省による「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」をもとにご紹介します。
- 導入目的の明確化
- 対象範囲の決定
- 現状把握
- 導入計画の策定
- 実施環境の整備
- 研修説明会の開催
- テレワークの試行・実施の開始
- テレワーク推進のための評価と改善
1.テレワークを導入する目的を明確にする
テレワークを導入することで企業としてどのような利益を得ようとしているのか、を明確にしましょう。ここでいう「利益」とは短期の売上向上や経費節約である必要はありません。テレワークを導入することの企業に対するメリットは、「生産性の向上」や「事業継続(BCP)」、「人材の確保」、「経費節約」などが挙げられます。このうち、あなたの企業で成し遂げたいことは何なのか、具体的な数字に落とし込んでいく作業をしましょう。
2.対象範囲の決定
テレワークの対象について、主に4項目について検討する必要があります。就業規則や運用ルールにも記載する必要があります。
「対象者」…誰がテレワークをするのか
「実施頻度」…どのくらい(週何回)テレワークをするのか
「実施場所」…どこでテレワークをするのか
「対象業務」…どのような仕事についてテレワークをするのか
3.現状の把握
テレワーク導入をする前の時点で、社内規則や社員の業務の実態について把握し、課題を抽出する必要があります。
- 規則など
- 就業規則
- 人事評価制度
- セキュリティポリシー
- 業務など
- 業務内容
- ICT環境
4.導入計画の策定
テレワークの導入テストプロジェクト計画を策定しましょう。担当者・予算・完了時期について考える必要があります。
以下のマイルストーンをスケジュールに組み入れましょう。
- プロジェクト計画書作成
- 制度・ルールの確認
- テレワーク環境の構築
- テレワーク実施者とその周囲の人間(上司や同僚)に対する研修やセミナーの開催
- テレワークの実施・検証
- 導入テストプロジェクト終了後の継続計画の策定・報告
5.実施環境の整備
環境の整備を行います。具体的にいうと、実施時のルールの整備と、ICT環境の整備です。
就業規則の改定・テレワーク規程の作成
テレワークに従事する従業員についても、労働基準関係法令が適用され、企業は就業場所や、労働時間、賃金について明示し、従業員に合意を得る必要があります。
オフィス勤務のみ想定している就業規則の場合、これを変更する必要がありますので、改定するポイントを押さえておきましょう。
テレワーク社内ルールの作成
規則・規程とは別に、社内でどのようにテレワークを運用するのか、具体的なルールを作成する必要があります。テレワークの実施範囲(人・場所)や、テレワークにかかった費用負担を誰がするかなど、社内ルール作成のポイントについては、こちらにまとめています。
テレワークツールを選定
テレワークを導入し円滑に運用するためには、社内規則やルールの策定だけでなく、適切なテレワークツールの導入が不可欠です。テレワークツールのコストの考え方や、ツールの入れ替えや連携などテレワークツールを選ぶときのポイントについて学びましょう。
6.テレワーク社内教育・社内研修
テレワークに従事する人(テレワーカー)と社内勤務者が、テレワーク導入に関する共通の認識を持っているかどうかは、テレワーク導入・実施の結果に大きく影響します。ポイントについてこちらにまとめています。
7.テレワークの試行開始
総務省による「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書」によれば、テレワークの試行期間は6か月間など、少なくとも3か月以上に設定することが望ましいとされています。新たなツールやルールに馴れることや、突発的なイベントで実施できないなどの状況を避けるために、長めに設定しましょう。
8.テレワークの導入効果を計測・評価する
テレワークの試行が終わったら、導入当初の目的と照らし合わせて導入の効果と課題を明らかにし、本格導入について検討します。導入の効果については、社員と共有することが重要です。