テレワーク先駆者百選企業に聞く、テレワークのコツとは?TRIPORT編

シゴトバでは1ヶ月に1度、総務省主催の「テレワーク先駆者百選」に認定された企業の方をゲストにお招きして、インタビュー形式のイベントを行っています。

今回はその第3段として、TRIPORT(トライポート)株式会社の西脇章大(にしわき しょうた)さんに、テレワークを成功に導く社内規程や出退勤管理の整備についてお伺いしました。

TRIPORT株式会社について

TRIPORT株式会社は、社会保険労務士でITエンジニアの岡本秀興さんが中心となって立ち上げた、経営と労務、ITを組み合わせたコンサルティングを提供する会社です。

さらに、TRIPORT社会保険労務士法人として、労務まわりの書類の整備や助成金の申請代行などの業務も行っています。

TRIPORTはその取組が認められ、2018年度のにテレワーク先駆者百選に選定されました。

同年にはテレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰の特別奨励賞や東京都の東京ライフ・ワーク・バランス認定企業、2019年度には日本テレワーク協会のテレワーク推進賞の優秀賞など数々の賞を受賞されています。

テレワーク先駆者百選とは

「テレワーク先駆者百選」とは、総務省が主催するテレワークの導入・活用を進めている企業・団体を「テレワーク先駆者」として選出し、その中でも十分な実績を持つ企業・団体を「テレワーク先駆者百選」として公表する取組です。

テレワーク規程作成のポイント

テレワーク導入にあたり、「テレワーク社員の出退勤、休憩時間の管理方法等が分からない」という声は少なくありません。

従業員の労働時間を適切に把握できないまま放置していると、残業代に関する労使間トラブルに繋がる可能性もあります。

テレワークの出退勤・休憩時間の課題に対しては、「正確な打刻」と「みなし労働時間」について就業規則などの社内規程にて、社内制度を定めておくことで解決します。

在宅勤務規程作成の流れ

社内規程として新たに在宅勤務規程(テレワーク規程)を作る流れは以下のとおりです。

  1. 法令遵守および従業員の働きやすさにまで配慮した「テレワーク規程」の作成
  2. 1の作成に伴い「就業規則」の改定
  3. テレワークという働き方に即した「雇用契約書・出勤簿」の作成や整備
  4. テレワークと相性の良い「各種制度」の導入

4の「各種制度」の具体例の一つが「時差出勤制度」です。

時差出勤制度はフレックスタイム制度よりもテレワークとの相性が良く、導入する企業も増えています。

制度の中身について、詳しくはテレワーク社員の出退勤管理で解説します。

その他規程について

在宅勤務規程の作成以外に、任意で作成すべきものは以下のとおりです。

  • 特定個人情報取扱規程
  • 健康情報取扱規程
  • 情報セキュリティ規程

このうち「特定個人情報取扱規程」と「健康情報取扱規程」は、従業員から取得した個人情報および健康情報を、会社としてだれが・どこで・どのようにして保管するか、従業員の権利を守るために作成義務が生じます。

テレワーク中の経費について

業務に必要となるインターネット回線の利用料、電話代、プリンター代などは、従業員が自宅でテレワークをするにあたり、どこまで会社が経費負担するか線引きが曖昧になりがちです。

日々の業務で発生する費用負担について明確化しなければ、これも労使間トラブルに発展する可能性があります。

社内規程で経費負担を明確化するにあたっては、以下のことについて取り決めます。

  • どこからどこまでを「会社負担」or「本人負担」とするか
  • 負担方法を「先払い」or「後から実費払い」とするか

テレワーク中の経費について就業規則でしっかりと規定しておけば、労使間トラブルを回避してテレワークのメリットのみを享受することができます。

テレワーク社員の出退勤管理

従来のオフィス勤務では、決められた始業時間から仕事を始めて、決められた退勤時間に仕事を終えるような働き方が一般的です。

しかし、テレワークに同じ働き方を導入すると生産性が低下し、かつ無駄な残業代が発生する原因となります。

テレワーク社員の出退勤管理の課題を解決するには、テレワーク勤務制度と相性の良い「時差出勤制度」を導入しましょう。

そもそもテレワーク勤務制度とは

そもそも「テレワーク」とは、従業員の場所的制約を排除できる制度です。

従来のオフィス勤務では、従業員はオフィスに通勤可能な場所に住まいを持つ必要がありました。

テレワーク勤務制度で場所的制約を排除すれば、従業員は場所を選ばず仕事ができ、企業側は採用の幅を広げれるという双方にメリットがあります。

時差出勤制度とは

時差出勤制度は従来のいわゆる「9時6時」の働き方とは異なり、就業時間に時差を設けることで従業員の時間的制約を排除できる制度です。

たとえば、月曜日は9時~18時まで働き、火曜日は10時~19時まで働くというように、所定労働時間はそのままに、従業員の個々の状況に合わせた柔軟な働き方ができます。

テレワーク勤務制度と時差出勤制度を導入した企業は、テレワークの生産性が向上して無駄な残業時間の削減ができただけでなく、多様な人材の採用に成功しています。

出退勤管理のITツール

TRIPORTではテレワーク社員の勤怠管理のクラウドツール「IEYASU」を導入しています。

IEYASUは従来のオフィス勤務で使用していたタイムカードや有給休暇届に代わり、クラウド上で勤怠管理や有給届の管理ができます。

他にもテレワーク向けのITツールとしては、コミュニケーションツールの「Chatwork」、クラウド上で電子契約が結べる「Cloudsign」などが挙げられます。

社内規程による法整備と並び、実際の従業員の業務を効率化するためのITツールの導入も必須となります。

まとめ

TRIPORT株式会社の西脇 章大さんをお招きして、テレワーク導入を成功に導くための労務管理のポイントについておうかがいしました。

労務管理の観点から、テレワークを成功に導くには「規程の作成」と「ITツールの導入」が必須です。

テレワークを初めて導入する企業が抱える労務面の課題と、解決策をまとめると、以下のようになります。

【課題①】出退勤、休憩時間等の管理

→【解決策】在宅勤務規程の作成と明確化、出退勤管理のITツールの導入

【課題②】経費負担の明確化

→【解決策】経費負担に関する規程の作成と明確化

【課題③】コミュニケーション不足やペーパーレス化推進

→【解決策】「Chatwork」や「Cloudsign」などITツールの導入

労務管理の面から、テレワークの働き方に即した法整備およびITツールの導入を推し進め、テレワークの効果を最大限に発揮できる環境づくりをしていきましょう。

TRIPORT株式会社/ TRIPORT社会保険労務士法人

https://triport.co.jp/

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