テレワーク先進自治体、北見市のふるさとテレワークに学ぼう

北海道北見市は、「はたらぶ」(はたらく+あそぶ)をキーワードにテレワークに取り組むテレワーク先進自治体です。

今回の記事では、北見市がどのようなきかっけでテレワークを開始し、どのような取り組みをしているかをご紹介します。

テレワークとは

テレワークとは、ICT技術を利用して場所にとらわれずに働くことです。テレワークのメリットやデメリット、テレワークを導入するためのヒントなどはこちらのページをご覧ください。

【総説】テレワークとは?意味や、企業が導入するメリット・導入率のまとめ

ふるさとテレワーク

「ふるさとテレワーク」とは、地方のサテライトオフィス等においてテレワークにより都市部の仕事を行う働き方のことです。北海道北見市の取り組みのみならず、「ふるさとテレワークとは何か」について知りたい方は、こちらをご覧ください。

【クイックガイド】ふるさとテレワークとは?

サテライトオフィスとは

サテライトオフィス勤務とは、テレワークの一種です。近年、東京などの都市圏に本社を持つ企業が、北海道北見市をはじめとする地方にサテライトオフィスを設置する動きがあります。

【クイック解説】サテライトオフィス勤務とは?

北海道北見市の概要

北見市は、北海道の北東部に位置する人口約12万人の地方都市です。市町村合併により、オホーツク海から内陸部へ伸びる細長い形状をしています。その地形のため、北見市の産業は農業や漁業、林業と多彩です。

周辺には世界自然遺産の知床半島があり、大自然に恵まれた環境でもあります。また、人口1人当たりの焼肉店の数が日本一の街としても有名です。

平成27年度「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」実施

北見市は、総務省が実施する「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」に平成27年度に参加。ここから北見市のテレワークへの取り組みが本格的に始まります。

参加コンソーシアム

「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」は、自治体単独ではなく、複数の団体が共同して実施します。今回は北見市が代表団体となり、近隣の斜里町などと組んで実証事業に取り組みました。

「北海道オホーツクふるさとテレワーク推進事業」と名付けられたこの事業の参加団体は下記の通りです。

【地方自治体】
北見市、斜里町

【大学】
国立大学法人北見工業大学

【受け入れ側団体】
一般社団法人北見工業技術センター運営協会、株式会社ワイズスタッフ

【参加企業9社】
グーグル株式会社、株式会社ミサワホーム総合研究所、株式会社イグアス、株式会社Waris、株式会社アイエンター、株式会社アンブルーム、株式会社ウィルリンクシステム、株式会社エグゼクション、株式会社要

参加人数

東京など都市部から北見市・斜里町へ移動した人数:180人

参加企業が地元で雇用した人数:2人

北見市の実証事業における3タイプのテレワークの取り組み

「北海道オホーツクふるさとテレワーク推進事業」では、4タイプのテレワークに取り組みました。

北見市では、斜里町で実施した「自然隣接型」以外の3タイプを試みています。

職住一体型

北見市がログハウスなどの戸建てを借り上げ、参加企業のサテライトオフィス兼社員住居として提供。参加したIT企業の「アイエンター」は、エンジニアのハッカソン合宿のような雰囲気でテレワークに取り組みました。

サテライトオフィスやコワーキングスペースといった仕事場は用意できるものの、さまざまなスパンでやってくる社員の住居はふるさとテレワークの大きな課題です。

短期間ならまだよいですが、ホテルや旅館で長期間生活するのは社員にとって大きな負担となってしまいます。北海道には美味しいグルメがたくさんありますが、健康的な暮らしのためには自炊が欠かせません。

自治体がワークスペースとワーカーの住居を一体として提供できれば、参加企業や社員にとって大きなベネフィットとなりそうです。

商店街利用型

既存のコワーキングスペース「TAYUMANU」を利用して、商店街のなかでのテレワークを実証しました。

地元ワーカーと都会からのテレワーカーの交流を主目的とし、実際にグーグルの社員などがテレワークを実施。グローバル企業の社員の価値観やモチベーションに触れるなど、交流によって地元ワーカーが刺激を受けることも多かったようです。

この他、参加企業が地元ワーカーを育成する遠隔研修なども行われました。

大学隣接型

北見工業大学に隣接してサテライトオフィスを設置。北見工業大学の学生をインターンとして配置し、スマートフォンアプリ開発などに挑みました。東京のオフィスと遠隔会議システムで中継してプレゼンを行うなど、意欲的な取り組みとなったようです。

このプロジェクトは、参加企業と地元学生のマッチングを主目的とし、実際に参加企業に採用された学生も。将来的には、大学卒業後に都会のオフィスで業務経験を積み、その後北見市のサテライトオフィスに戻って同じ仕事を続けるという「サケモデル」を目指しているそうです。

実際に東京オフィスで数年を過ごした若者が、本当に北見市に回帰するのかどうかは長期的な観測が必要になりますが、人材流出に悩まされる地方にとっては解決の糸口となりそうです。

実証事業終了後の北見市におけるテレワークの展望

職住一体型

実証事業に参加したIT企業の「アイエンター」が、自社で家屋を借り上げて職住一体型サテライトオフィスを継続しています。

集中して開発業務などに取り組みながらも、休日はスキーや観光、グルメを楽しみ、ライフワークバランスの取れた充実したテレワークを実現しているようです。

アイエンターの北見サテライトオフィスの状況が日々ブログにアップされているので参考にしてください。

北見テレワークBLOG
https://www.i-enter.co.jp/blog/biz/

サテライトオフィス北見

平成29年6月、JR北見駅から歩いて3分というアクセスのよい場所に、北見市テレワークの拠点として「サテライトオフィス北見」がオープンしました。

東京に本社を置くIT企業「株式会社Zooops Japan」(ズープス ジャパン)は、このサテライトオフィス北見にてテレワークを行っています。

ズープスジャパンは、北見工業大学との共同研究など積極的に北見市と提携してテレワークに参加し、総務省「テレワーク先駆者百選」(平成29年度)にも選定されています。

また、流氷や野生動物などオホーツク地方の豊かな観光資源を活かし、社員とその家族に大自然を味わってもらう「ワーケーション」にも取り組んでいます。そのなかで地元住民との交流も生まれ、企業・社員・地元それぞれにメリットが感じられるテレワークが実現しているようです。

ふるさとインターンシップ

「サケモデル」の取り組みとして、オホーツク管内出身で首都圏や札幌の大学に進学している学生を対象に、「ふるさとインターンシップ in 北見」を実施しています。

サテライトオフィス北見でテレワークを行っている企業が学生をインターンとして受入れることで、企業と学生がマッチング。優秀な人材が首都圏などで経験を積み、やがて北見に戻って活躍することが期待されています。

テレワーク関連のイベント開催

サテライトオフィス北見を活用して、都会からくるテレワーカーや地元ワーカー、子供たちを対象としたワークショップなどのイベントが多数開催されています。

2019年3月 『ハックデイ オホーツク inキタミ』開催予定

2018年12月 『子ども向けプログラミング教室「micro:bitでオモチャづくり」』開催(全3回)

2018年11月 『第3回ハッカソンin北見』開催

2018年8月 『オホーツクテレワーク「働き方改革」リーダー合宿』開催(5日間)

2018年2月 『働き方改革で、企業も社員も儲かる時代 企業と社員で目指す「金持ち企業・金持ち老後」セミナー』開催

2018年1月 『「社会人向けテレワーカー育成講座」3D-CADオペレーター(BIM) 体験講習会』開催(1ヶ月間)

まとめ

北海道北見市は、テレワーク先進自治体です。

実証事業を通して得た経験や課題を活用し、新しいスキームに貪欲に取り組む姿勢が伺えます。

テレワークを推進したい自治体、テレワークを導入したい企業、テレワークで働いてみたいワーカーにとって、北見市の事例はとても参考になるのではないでしょうか。