テレワークで使える仮想デスクトップ方式とは?

テレワーク成功の鍵となるのが、社外でのパソコンの運用方法です。機密情報が入ったパソコンやUSBメモリをそのまま外部に持ち出すことは、データ漏洩のリスクが高く非常に危険。クライアントPCにデータが残らない仮想デスクトップ方式なら、安全にテレワークを運用できます。

今回の記事では、仮想デスクトップ方式の特徴やメリットを説明し、おすすめの仮想デスクトップ製品をご紹介します。

テレワークとは?

テレワークとは、時間や場所にとらわれない働き方のことです。リモートワークという言い方をする企業・団体もあります。

近年、仮想デスクトップをはじめとする情報通信技術(ICT : Internet Communication Technology)の発展によりインターネットを介して地理的に遠くの人と働くことが可能になりました。これにより、オフィスの外(自宅やカフェ、サテライトオフィスなど)で働いたり、国外の仲間と働いたり、従来の働き方と違う様々な就業形態が可能になりつつあります。

テレワークにおけるセキュリティ

テレワークを導入すると社員が社外で働くことになるため、セキュリティが不安視されます。このページでご紹介する「リモートデスクトップ方式」の他にも、テレワークにおけるセキュリティの担保には様々な方法があります。総務省による「テレワークセキュリティガイドライン」が大変参考になりますので、一度ご覧ください。

【クイック解説】テレワークセキュリティガイドラインとは?

仮想デスクトップとは?

サーバー内の仮想PC

仮想デスクトップ(VDI:Virtual Desktop Infrastructure)は、サーバー内に各ユーザーの仮想PCを構築する方式です。ユーザーは、クライアントPCからネットワークを介してサーバーにアクセスして仮想PCを操作します。

クライアントのキーボードやマウスの操作情報がサーバーに送られ、サーバーが生成する仮想デスクトップ画面が画像としてクライアントに送信されてくるのです。

仮想デスクトップ方式のシステム形態として、社内にサーバーを設置するオンプレミス、データセンターを利用するクラウド、オンプレミスとクラウドを併せたハイブリッドの3通りがあります。

クライアントにはストレージを持たないシンクライアント端末を使うのが一般的ですが、システムによっては一般的なパソコンやタブレットも使用できます。

SIベンダーに導入を依頼

仮想デスクトップ方式は、サーバー群・ストレージの選定やオプションの設定など初期設定事項が複雑で多岐にわたるため、SIベンダー等に導入サポートを依頼するのが一般的です。

中・大規模での導入事例が多い

仮想デスクトップ方式は大規模なサーバー群を構成し、専任のIT管理者などが必要になることから、中堅企業・大企業での導入事例が多いようです。小規模の企業・団体には、より簡単に導入できるリモートデスクトップ方式が適しています。

クラウドサービスも登場

最近では、Amazon WorkSpacesのようにクラウドサービスとして1台から仮想デスクトップを提供する製品もリリースされています。このようなDaaS(Desktop as a Service)なら、小規模の企業・団体での導入も視野に入ってきます。

仮想デスクトップ方式のメリット

場所を選ばない

仮想デスクトップ方式のメリットは、ユーザーが場所を選ばずにどこからでも、いつもと同じデスクトップ環境にアクセスできることです。オフィスのデスクからでも、テレワーカーの自宅からでも、出張先のホテルからでも。アクセスする仮想デスクトップは同じなので、社内からでも外部からでも全く同じ環境でパソコン作業ができるのです。

セキュリティが高い

仮想デスクトップ方式は、クライアントPCに全くデータが残りません。そのため、端末の盗難や紛失など万が一のアクシデントが起きてしまっても、顧客データや製品情報といった機密情報が漏洩してしまう危険性が少ないのです。

クライアントPCからサーバーへのアクセスも、他要素認証方式などで強固に守られています。

サーバー側でPCの一元管理ができる

ITリソースの管理という視点からみても、仮想デスクトップ方式は優れています。個別にパソコンを使う従来の方式と比べて、個人用ハードウェアのリプレイスサイクルが長くなります。クライアントPCには大きな処理負荷がかからずストレージも不要なので、ロースペックのパソコンを長く使えるからです。

また、OSやアプリといったソフトウェアの管理性も格段に向上します。バージョンやライセンスの管理を一元的に行えるので、効率的にITリソースを管理できるようになるのです。セキュリティパッチの配布やウイルス対策にも効果を発揮します。

テレワークの形態(在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務)にかかわらず、サーバー側でPCの一元管理することを重視する場合には、仮想デスクトップ方式の導入を検討するとよいでしょう。

仮想デスクトップ方式の注意点

新規システムの構築が必要

仮想デスクトップ方式は、手元のクライアントPCから中身(OS・アプリ・データ)を手放し、全てサーバーに預けるという大規模な社内ITシステムの革命です。そのため、手軽に導入できるリモートデスクトップ方式に比べ、全社をあげての計画的な取り組みが必要です。

サーバが停止した場合の業務への影響が大きい

仮想デスクトップ方式は、サーバーに全てのデータが集積するので、万が一サーバーが停止してしまった場合に業務が全てストップしてしまう危険性があります。

サーバーを1ヶ所のみにしか設置しないと、大規模自然災害などの際に事業継続が危ぶまれます。全国の複数拠点にバックアップサーバーを設置したり、データセンターを利用したりといったBCP対策が必要です。

仮想デスクトップの選び方

設定のわかりやすさ

初期設定はSIベンダーにサポートしてもらっても、日常のシステム運用は社内のIT管理者が行います。複雑なシステムをわかりやすく管理できる画面や、簡単に操作できる設定ツールが用意されている製品を選びましょう。

コストパフォーマンス

仮想デスクトップは、ストレージのコストとパフォーマンスのバランスが最大の鍵となります。ストレージに高速なSSDを選べばパフォーマンスが高くなりますが、コストも上がります。業務によって最適なバランスを取ってSSDとHDDを使い分けるのが重要です。

おすすめの仮想デスクトップ製品5選

Citrix Virtual Apps and Desktops/ シトリックス・システムズ・ジャパン(株)

Citrix Virtual Apps and Desktopsの特徴

  • VDI市場を牽引する老舗が展開するDaaS
  • データセンターインフラ、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ハイブリッドクラウド上で運用

Citrix Virtual Apps and Desktopsの料金プラン例

基本年間利用価格:270USD/1ユーザー

VMWare Horizon/ ヴイエムウェア(株)

VMWare Horizonの特徴

  • オンプレミスのVMware Horizonと、パブリッククラウドのVMware Horizon Cloudの2タイプ
  • DRS(分散リソーススケジューラ)機能で各仮想デスクトップのパフォーマンスを最大化

VMWare Horizonの料金プラン例

富士通 Horizon 7 Standard 10 pack 1年間24時間サポート付

447,300円

Microsoft VDI/ 日本マイクロソフト(株)

Microsoft VDIの特徴

  • Windows Serverの機能として提供
  • 単一の統合されたコンソールで VDI を効率的に管理

Amazon WorkSpaces/ アマゾンウェブサービスジャパン(株)

Amazon WorkSpacesの特徴

  • フルマネージド型のクラウドベースDaaS
  • OSにはWindows 7、Windows 10及びAmazon Linux 2を選択可能

Amazon WorkSpacesの料金プラン例

Windows バンドルオプション スタンダード

2 vCPU、4 GiB メモリ、80 GBルートボリューム、10 GBユーザーボリューム

月額料金:45 USD

時間料金:10 USD/月 + 0.40 USD/時間

どこでもデスクトップ/ ドコデモ株式会社

 

どこでもデスクトップ の特徴

  • 中小・中堅企業向けに1台から対応可能
  • 導入サポートあり
  • Adobe CC, CAD, VFX(CG)向きのクリエイティブ、Officeなど一般向きのエントリー、スタンダードの3モデルから利用可能

どこでもデスクトップ の料金プラン例

  • エントリー(CPU: 2コア, メモリ: 4GB) 100円/1時間
  • クリエイティブ(CPU: 8コア, メモリ:32GB, GPU: NVIDIA T4 16GB)220円/1時間

 

まとめ

仮想デスクトップは、高いセキュリティとITリソース管理の一元化を実現するソリューションです。ユーザーが場所を選ばずにアクセスできるので、テレワークにも最適。

以前はオンプレミスでのサーバー構築が必要でしたが、最近はDaaS(クラウド)が主流になり導入の敷居も低くなっています。テレワークをきっかけに、全社的に仮想デスクトップ環境への移行を検討してみてください。