テレワークのコミュニケーション課題解決にーテレプレゼンスロボットの概要と注目機種3つ

テレワーク・リモートワーク先進国のアメリカでは、離れた場所で働く同僚とのコミュニケーションを円滑に行うため、数年前よりテレプレゼンスロボットが登場してきています。この記事ではテレプレゼンスロボットの概要と注目の機種について紹介します。

テレプレゼンスロボットとは

テレプレゼンスロボットとは、「テレ(遠隔)」+「プレゼンス(存在)」+「ロボット」の3つが組み合わさった造語で、遠隔操作であたかもそこに存在しているかのように振舞えるロボットを指します。具体的には、ビデオ会議システムを搭載したタブレットのような端末に車輪が具備されている機種が多く、離れた場所からでも自由に位置を操作でき、その場にいるような感覚で同僚と一緒に働くことができます。近年のスマートデバイスの性能向上、ロボット関連技術の発達により、実用的な性能とリーズナブルな価格の機種が増えてきました。

テレプレゼンスロボットの活躍するシーン

通常のビデオ会議による接続とは異なり、自由に移動したり、視点を変えることができるため、様々な用途に利用することができます。例えば下記のような用途で利用されることがあります。

  • ビデオ会議の臨場感を向上させる
  • 警備員/監視員をリモートで行う
  • 工場などの施設の見回りをリモートで行う
  • 会社の設備紹介をリモートで行う
  • 展示会の案内員をリモートで行う(操縦者は適宜交代する)

注目のテレプレゼンスロボット

2019年現在、注目されているテレプレゼンスロボットを3つご紹介します。

Beam

公式サイト

概要

BeamはSuitable Technologies社が開発しているテレプレゼンスロボットで、アメリカでは最もポピュラーなものの一つです。現在利用可能な機種は「Beam Standard」「Beam Enhanced」「Beam Pro」の3機種で、何れもWindows/Mac/iOS/Androidからの遠隔操作が可能です。

スペック

それぞれのスペックは下記の通りです。Beam Proは最も高価ではありますが、Beamシリーズの全ての長所を備えています。また、自動運転にも利用されるLIDERが搭載されており、これによって移動時の速度調整を行うといった安全面の配慮がされいます。

 Beam StandardBeam EnhancedBeam Pro
連続動作時間最大2時間利用可能最大8時間利用可能
ディスプレイ10インチ17インチ
カメラ広角カメラを撮影用、リモートナビゲーション用に一つずつ搭載
オーディオ・スピーカー
・マイク x4
・スピーカー
・マイク x6
移動速度1MPH (Mile per hour)
≒ 0.45 メートル/秒
2MPH (Mile per hour)
≒ 0.90 メートル/秒
遠隔操作Windows/Mac/iOS/Androidデバイスに対応
その他速度調整用にLIDERを搭載
価格2140ドル4990ドル14945ドル

次世代機

Beamは次世代機として24インチの大画面を備えた「Beam Pro 2」を2018年1月に発表しています。2018年12月のリリースを予定していましたが、まだ販売開始はしていない模様です。(2018年1月4日現在)

Double

公式サイト

概要

DoubleはDouble Robotics社の開発しているテレプレゼンスロボットです。名称は「代理」や「自分の分身」を意味する「Double」から由来しています。現在利用可能な機種は第二世代目となる「Double 2」一機種のみで、Beamとは異なり、ディスプレイにはiPadを装着するという形になっています。

スペック

DoubleはiPadの性能がそのままが利用される形になっていますが、別途カメラキットを取り付けることで広角カメラを利用することができます。

 Double 2
バッテリー最大10時間利用可能
ディスプレイサイズiPadの画面を使用(9.7インチ)
カメラiPadのカメラを使用
オーディオiPad内蔵スピーカー&マイクを使用
移動速度約0.70 メートル/秒
遠隔操作Windows/Mac/iOSに対応
その他・基本的にはiPad内蔵カメラを利用するが、4MP/広角150度のカメラキットを別途使用可能
価格3000ドル

temi

公式サイト

概要

temiはパーソナルロボットという位置付けでtemi社が開発・提供しているロボットで、テレプレゼンス機能に特化したロボットではありませんが、他の機種と比較しても見落とりしないだけの機能を備えています。

スペック

Beam Proにも搭載されているLIDERに加え、デプスカメラ(深度センサー)を備えており、障害物検知に配慮して設計されていることが伺えます。これは、temiは遠隔操作だけではなく、障害物を避けながら自走する機能が備わっているためと思われます。ディスプレイサイズはやや小さめですが、その反面、角度の調節が可能になっているというメリットもあります。そしてそれだけの機能を備えながら1500ドル以下で購入できるというのも大きな魅力です。

またtemiは開発者向けにSDK(Software Developer Kit)を用意しています。自社ツールとの連携などの独自拡張を行うことができます。SDKは公式ページから問い合わせることで入手できます。

 temi
連続使用時間最大10時間利用可能
ディスプレイ10.1インチディスプレイ
カメラ・撮影用
 13MP/FOV 75度のカメラを搭載
・ナビゲーション用
 13MP/FOV 110度の広角カメラを搭載
オーディオ・スピーカー
・マイクx4
移動速度1 メートル/秒
遠隔操作iOS/Androidデバイスに対応
その他・ディスプレイの角度はデフォルトの位置から-15度~+55度の範囲で調整可能
・LIDER及び、ToF方式のデプスセンサーを搭載
・開発者キットも用意
価格3000ドル

まとめ

この記事ではアメリカで存在感を増しつつあるテレプレゼンスロボットについてその概要と注目機種を紹介しました。今後日本への導入が増えてくれば、テレワーカーの働き方を広げる可能性のある技術です。