「テレワーク川柳」をご存知でしょうか?
テレワークを日本社会に普及させるため一般社団法人日本テレワーク協会が企画、2015年から続くテレワーク普及活動の一環です。
毎年、多くの応募作品の中からグランプリ作品、入賞作品が選出されており、非常に秀逸な作品が目を引きます。
今回の記事では、日本テレワーク協会の活動のひとつである「テレワーク川柳」と、2018年度入賞作品から読み取れるテレワークの「リアル」をお伝えします。
日本テレワーク協会とは
日本テレワーク協会は、日本で唯一のテレワークの調査研究・普及推進活動を展開している団体です。バブル景気のピークで東京一極集中が社会問題になっていた1991年、「日本サテライトオフィス協会」という名称で設立されました。
設立当時は、サテライトオフィスを推進することにより東京一極集中からの分散化を図り、企業活動の効率化やゆとりある働き方の実現を目的としていました。
現在では、少子高齢化を背景とする労働人口の減少、およびグローバルな競争激化によるイノベーションの必要性を課題とし、政府が推し進める働き方改革の目玉としてサテライトオフィスをさらに進化させたテレワークの普及推進に努めています。
テレワーク普及啓発活動の一環としての「テレワーク川柳」
テレワーク川柳は、政府が推進する働き方改革の目玉として注目されるテレワークについて、企業だけでなく家庭や社会においてもその理解を深め、より身近な働き方として普及促進していくために、2015年から始まった取り組みです。
日本テレワーク協会の主催ですが、テレワークに興味のある人ならだれでも参加できます。応募作品のうち1作品をグランプリ賞、10作品を入選として選出、毎年2月頃に日本テレワーク協会のホームページ上で入賞、佳作作品等が発表されています。
たとえば2017年度のグランプリ作品は「終業の 合図は子とする ハイタッチ」でした。テレワークの在宅勤務によって得られる、かけがえのない家族との時間を端的に川柳で表現されています。
2018年度テレワーク川柳のグランプリ・入賞作品
2019年2月に発表された、2018年度のテレワーク川柳のグランプリ賞作品、入賞作品を紹介します。
※括弧内はペンネーム。
グランプリ賞作品
できるじゃん 工場勤めの オレにでも (テレワークマイラブ)
テレワークは何も、大手企業やIT関連企業にしか導入できない制度ではありません。グランプリ賞の川柳のように、従来では工場に出勤しないと出来ないとされていた作業も、IoTツールの活用やロボットによる業務プロセスの自動化により、テレワークの実現が可能なのです。
入賞作品
入賞は「社会」「多様な働き方」「上司部下」「働き方(仕事)」「家庭」の5部門で作品は選出されます。
【社会】
大人たち 会社行くのは 思い込み チコちゃん(5さい)
まず出勤 信じたあの頃 社畜かも (紫雲山)
いずれの川柳も、テレワークの導入がいかに従来の仕事の価値観を変えるものかを端的に表現しています。
【多様な働き方】
「関係ない」 試してみたら 「半端ない!」 (聖者の行進)
社長だけ 家から参加の 役員会 (倒立流弾)
足悪く こんな時代を 夢見てた (障 有夫)
テレワークは、「自分の職種には関係ない」「身体が不自由だから仕事を選ばざるを得ない」といった人にも、平等に仕事ができる機会を与えるポテンシャルがあるということが川柳から読み取れます。
【上司部下】
これやって 上司と妻の 二重奏 (ヨリコのおまけ)
IoTツールを活用することで、自宅で家事や育児をしながら会社の上司ともやり取りができるということを表しています。
【働き方(仕事)】
混乱の ダイヤ横目に テレワーク (ハルル)
テレワーク 隣で妻も テレワーク (次男坊)
部長より 良い椅子買って テレワーク (らくちゃん)
テレワーク IT知識 求められ (引田六郎)
テレワークを導入することで得られるベネフィットを川柳にして詠んでいます。通勤・通学に関しては、来たる東京オリンピック2020で予想される公共交通機関の大混雑の対策として、テレワークの普及が急がれています。
【家庭】
空調の ビルよりわが家の 風通し (ハルル)
ドア越しに 仕事終わる?と 妻が聞く (健人坂)
どちらの川柳も、在宅勤務によって家族との時間が増えたということを表していますね。育児や介護などで優秀な人材が会社を辞めざるを得ない状況を改善することも、ワーク・ライフ・バランスを目的の一つとするテレワークに期待されています。
まとめ
今回の記事では、テレワーク川柳にクローズアップして、日本テレワーク協会の普及活動の一端を紹介しました。
東京オリンピック2020も間近に迫り、いよいよテレワークの導入も佳境に入っています。現在は首都圏、大都市の企業が中心となっていますが、数年後には地方都市にもテレワークの波及が予想されます。
日本テレワーク協会はテレワーク川柳のみならず、テレワーク導入による生産性向上・効率化の研究やテレワークを導入に関する相談受付、およびテレワークを実施した中小企業に助成金を給付するなどさまざまな活動を行っています。
労働者不足の解消や生産性向上を図りたい中小企業の事業主の方、人事の方は、ぜひテレワークに着目されてはいかがでしょうか?