近年、労働人口の減少により、子育てや介護など変化するライフステージにおいても従業員が働き続けられる職場づくりが求められています。また、人生100年時代を迎え、長く続けられる趣味を持つことや、地域活動へ参加することの重要性が見直されています。これらの解決策として、働く場所にとらわれないテレワークへの注目が集まっていますが、「テレワーク」で検索すると、実に様々な団体・窓口が存在しており、どこが一体何をしているのか、自分の欲しい情報はどこで見つかるのか、理解するのが難しい状況です。
そこでこの記事では、テレワーク導入をお考えの経営者・導入担当者の方々向けに、テレワーク導入の際に助けとなったり、相談できる団体・窓口についてまとめました。
また、テレワークは行政主導で普及推進がすすめられていますが、各省がどのような活動をしているのか、知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
Contents
一般社団法人 日本テレワーク協会
概要
日本テレワーク協会は、1991年設立の社団法人です。
公式webサイトによると、事業内容は「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方であるテレワークを、広く社会に普及・啓発することにより個人に活力とゆとりをもたらし、企業・地域が活性化できる調和のとれた日本社会の持続的な発展に寄与する。」となっています。2019年4月時点で、91の正会員と196の賛助会員の企業・団体・自治体が参加しています。
会員として参加するには
テレワーク協会の事業目的に賛同、活用しようとする法人・団体であれば会員になることができます。協会のwebサイトで入会申込書をダウンロードできます。
会員・会費
会員として参加するには、正会員と賛助会員の2種類があり、それぞれ資本金の多さ、また、法人の種類によって会員種別が全6種類あります。自治体の会費は免除されていますが、それ以外の企業・団体は会員種別に応じて年間5万円~40万円の会費を支払う必要があります。
日本電信電話(NTT)、日立製作所、株式会社NTTドコモ、KDDI株式会社などの大企業が正会員として、また、鎌倉市や軽井沢町など多くの自治体も賛助会員として参加しています。
総会での議決権や参加できる部会数、ソリューション紹介コーナーへの掲載件数、成果物の無償配布数などは、会員種別に応じてできる権限・範囲が異なります。
会員になるメリット
総会や部会への参加が可能となります。(非会員でも20,000円/部会を支払うことにより、部会に参加することは可能です。)2018年度は5つの部会が設置されています。(以下、テレワーク協会webサイトより抜粋)
- サードワークプレース研究部会
- 第4次産業革命とテレワーク研究部会
- ライフコース多様化とテレワーク部会
- テレワーク最新技術動向研究部会
- 中小企業市場テレワーク普及・定着推進部会
また、テレワーク協会内のソリューション紹介コーナーを利用することができたり、会員同士での交流を持つことができます。テレワーク向けソリューションを提供している企業であれば、会員になるメリットは大きいと思われます。
会員にならなくても利用可能
会員にはならずとも、日本テレワーク協会のセミナー等に参加することは可能です。しかも、多くが無料で開催されているため、テレワークの導入を検討している企業は、日本テレワーク協会の主催するイベントやセミナーを積極的に利用しましょう。日本テレワーク協会は、総務省や厚生労働省から受託してセミナーを行っているので、元をたどれば皆さんの税金です。
テレワークに関するセミナー(厚生労働省・総務省受託事業)
日本テレワーク協会では、厚生労働省・総務省から受託し、テレワークを導入する人・またはしている人向けに無料セミナーを行っています。また、それ以外のセミナーや各種イベントの多くに無料で参加することができます。セミナーや各種イベントの情報は、日本テレワーク協会のwebサイトか、または、総務省・厚生労働省が開設しているページでもみることができます。(どちらも名前が独特です。)
【日本テレワーク協会】イベント(日本テレワーク協会内webサイト)
【総務省】平成30年度テレワークのすそ野拡大に向けた調査研究
【厚生労働省】厚生労働大臣表彰輝くテレワーク賞
テレワーク相談(厚生労働省受託事業)
無料でテレワークの導入や、助成金に関する相談をすることができます。東京都・外で2か所窓口が設けられていますが、どちらも厚生労働省の時間外労働等改善助成金(テレワークコース)について相談をすることができます。日本テレワーク協会内のテレワーク相談センターでは、申請もできます。
【東京都の方】 東京テレワーク推進センター内 テレワーク相談コーナー
【東京都以外全国の方】 日本テレワーク協会内 テレワーク相談センター
メールマガジン
これらのセミナー等の情報は、それぞれのwebサイトに散らばっているため、一元的に情報を入手するためにはメールマガジンに登録する必要があります。
テレワーク推進フォーラム
概要
テレワーク推進フォーラムは、2005年にテレワーク関係4省(総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)の呼びかけにより設立された、産官学からなるフォーラムです。近年では、11月に行われる産官学連携セミナー(2018年分は終了しました)の主催や、テレワーク月間の呼びかけなどを行っています。2018年6月時点では、126の企業・省庁・自治体・個人の会員が参加しています。
会員として参加するには
テレワーク推進フォーラムの設立趣意に賛同される法人・団体等であれば会員になることができます。協会のwebサイトで入会申込書をダウンロードできます。
会員・会費
こちらは、会費は無料です。
会員になると
産官学連携セミナーのお知らせや、テレワーク月間の案内がもらえます。
日本テレワーク協会との違いは?
実は、テレワーク推進フォーラムは、物理的な事務所は先述の社団法人テレワーク協会内に設置されていますが、その役割は2団体で異なるようです。2団体とも、テレワークの普及・推進を目的としていますが、テレワーク協会が社団法人であるのに対し、テレワーク推進フォーラムは法人格を持っていません。そのため、テレワーク協会は様々な活動を主体的に行う存在であるのに対し、テレワーク推進フォーラムは産官学の諸団体のゆるやかな集まりに過ぎません。テレワーク推進フォーラムは会費が無料ですが、テレワーク導入を検討している段階では参加するメリットは薄いといえるでしょう。
東京テレワーク相談センター
概要
東京テレワーク推進センターは、2017年に東京都と国(内閣府、総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省)が東京圏国家戦略特別区域会議の下に開設したテレワークにかかわる情報を得られるワンストップサービスです。実際にテレワークツールを体験できたり、テレワークに関する相談をすることができます。
場所
東京都文京区後楽二丁目3番28号K.I.S飯田橋ビル6階
営業時間
平日9:00~17:00(国民の祝日、年末年始を除く)
できること
常設展示
「コミュニケーション」「業務管理・統合ツール」「環境構築・先端技術」に分けられた、テレワークに関する様々な機器やソフトウェアを体験することができます。
テレワークセミナー
毎月、働き方改革やテレワーク推進に関する無料のセミナーが行われています。
テレワーク相談(厚生労働省委託事業)
労務管理や情報セキュリティなど、テレワークに関する相談ができます。厚生労働省の時間外労働等改善助成金(テレワークコース)に関する相談もできますが、実際の申請は日本テレワーク協会内のテレワーク相談センターで行う必要があります。ちなみに、東京都は都独自で行っているテレワークのための助成金がありますが、それに関してはこちらでは相談を受けていません。都の助成金に関しては、後述する東京しごと財団で相談・申請しましょう。
求人求人相談(予約が必要です)
テレワークを活用し求人活動を行いたい企業向けに、活用できる業務シーンの整理や求人票の書き方のポイントなど、人材確保に関する相談を受けることができます。東京テレワーク推進センターwebサイト内の予約フォームで相談の予約ができます。
また、東京テレワーク推進センター内では、定期的に柔軟な働き方をしたい人向けのマッチングイベント(採用イベント)を行っており、webサイト内で情報を得ることができます。
東京しごと財団
テレワーク活用・働く女性応援助成金
東京しごと財団では、働き方改革の推進に向けたテレワーク環境の整備を支援するため、中小企業向けに「テレワーク活用・働く女性応援助成金」という助成金の募集をしています。(申請受付は2019年3月29日まで)
説明会
東京しごと財団では、この助成金に関する説明会が開催しています。興味がある経営者・導入担当者の方は、電話にて、参加申し込みをしましょう。
補助金窓口・セミナー情報のまとめ
この記事では、テレワーク導入を検討している経営者・担当者向けに、テレワーク関連団体・窓口についてまとめました。近年国や自治体が力を入れて取り組んでいることもあり、様々なウェブサイト、窓口が存在していますが、要所をまとめると以下の通りになります。
- テレワーク導入関連セミナーを受けたい方は日本テレワーク協会のメルマガに登録
- 厚労省の補助金についてはテレワーク相談センターに相談
- 東京都の補助金については東京しごと財団に相談